放送設備向けスピーカーのメーカーと特色


 放送設備向けスピーカーは様々なメーカーが販売しています。ここでは世に多種のPAスピーカーを送り出したメーカーにフォーカスを当てて見ていきます。

その2- 【松下通信工業】

 松下通信工業は1958年に松下電器の通信事業部から独立した松下グループの関連企業で、通信機器、視聴覚機器、自動車用機器等を製造販売していた会社です。2000年代にグループ改革を経て松下電器の子会社となり、現在はパナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社が事業を継承しています。放送設備を含む視聴覚機器はパナソニックシステムネットワークス株式会社が取り扱っていましたが、2017年にパナソニックシステムソリューションズジャパン株式会社へと社名変更が行われました。

 一般放送設備向けにはナショナルブランドが用いられ、ナショナルブランドの廃止後はパナソニックブランドに統一されています。一方、プロオーディオの分野ではナショナル時代から現在に至るまでRAMSAブランドが用いられています。ナショナルといえば、独特の書体をもったナショ文字や、NATIONALのNをモチーフとしたロゴマークのほかに、各種部品やスピーカーユニットのフレームに刻まれた三松葉等、独創的で素敵なロゴマークが数多く存在していました。

 スピーカーユニットの型式は「EAS-xxxxxxx」といった形式で名付けられており、さらに古いものでは「P-xxx」といった表記もあります。また、古いスピーカーユニットのマグネットにはP.D.SPEAKERと表記されているものがあり、これはPermanentDynamicSpeakerの略で、「永久磁石を使用したダイナミックスピーカー」を意味します。

表記例: EAS-xxYzzzz
xx ユニット口径(cm)
Y ユニット形状(P:円形、D:楕円形)
zzzz モデル番号

※ EASの由来についての正式な資料は見当たりませんが、私の推測ではElectronicAcousticSpeaker(電気音響スピーカー)の略であると考えています。

 販売されているスピーカーの型式は、WS-xxxx(壁掛型、クリアホーン型、天井埋込型)、WT-xxxx(トランペット型)となっています。